お子さんがお米を食べない、と悩んでいる保護者の方は少なくありません。ASD偏食の専門家として多くのご家族の相談を受けていると、「うちの子、米をまったく食べなくて…」というお声を本当によく耳にします。実際、自閉症の子どもの偏食のなかでも「お米を受けつけない」というケースは非常に多く、決して珍しいことではありません。
我が家の”偏食王子”も、気づけばお米を食べなくなって1年近くが経ちました。食べなくなった当初は、親として焦りや不安を強く感じたものです。「このままで栄養は大丈夫なのか」「給食はどうするの?」「偏食は治る?」――そういった疑問や心配が次々と頭をよぎりました。
しかし、今では少し違う視点でこの問題を見られるようになりました。その考え方を、ここでお伝えしたいと思います。
そもそも、なぜ米を食べさせなければいけないのか?
まず立ち止まって考えてみてください。「子どもにお米を食べさせなければならない」と思う理由は何でしょうか。
多くの場合、答えはこうです。「日本人だから」「主食だから」「当たり前だから」。
日本は米食文化の国です。ごはんは食卓の中心にあり、給食にも毎日のように登場します。だからこそ、「米を食べない=問題がある」と感じてしまうのは自然なことです。しかしそれは、文化的な思い込みである部分もあります。
世界に目を向ければ、小麦が主食の国もあれば、芋やとうもろこしが主食の国もあります。人が生きていくうえで「必ずお米を食べなければならない」という絶対的なルールはありません。
ADHD・ASDの偏食はなぜ起こるの?
adhd asd 偏食はなぜ起こるの?という疑問を持つ方は多くいます。
ASDやADHDの子どもは、感覚過敏や感覚鈍麻を持つことが多く、食べ物の「食感」「におい」「見た目」「温度」に対して非常に敏感に反応することがあります。お米の場合、炊きたてのもちもちとした食感や、独特の甘みのにおいが苦手という子もいます。また、「いつもと違う炊き加減」など、ほんの少しの変化に気づいて食べられなくなることもあります。
さらに、ASDの特性として「同一性へのこだわり」があり、いつもと違うもの・慣れていないものを強く拒否するケースも見られます。偏食はわがままではなく、神経学的な特性から生じる自然な反応であることを、まず理解しておくことが大切です。
偏食は治る?正しい目標設定のすすめ
「偏食は治る?」という問いに対しては、「治す」という表現より「広げていく」という視点が有効です。
焦って食べさせようとすると、食事の場面がストレスになり、ますます食べられるものが減っていくことがあります。「食べなさい」「一口だけ」というプレッシャーが、食事そのものへの嫌悪感につながってしまうのです。
大切なのは、今食べられるものをしっかり認めることです。食べられるものがある、それだけでまず十分です。そこから少しずつ、安心できる環境の中で新しい食材や食感に慣れていく経験を積み重ねていくことが、長い目で見たときに偏食を「広げる」近道になります。
お米の代わりになるものはたくさんある
お米を食べてほしい、という気持ちがあるなら、今の時代は代替品が非常に充実しています。
米粉を使ったパンやうどん、ライスペーパー、米粉のクレープなど、「米由来」の食品は多様にあります。お米そのものは食べられなくても、米粉製品なら食べられる、というお子さんもいます。また、じゃがいもやさつまいも、パスタ、パンなど、炭水化物を補う方法は一つではありません。
「主食=ご飯でなければならない」という枠を外してみると、案外今日の食卓は豊かになるかもしれません。
給食はどうするの?学校との連携について
「偏食 給食はどうするの?」と心配される方も多いです。
学校給食でお米が出る場面では、担任の先生や栄養教諭に事前に相談しておくことをおすすめします。「食べられないものがある」という事実を伝え、無理に完食させないよう配慮をお願いするだけでも、子どものストレスはずいぶん軽減されます。個別の対応が可能かどうかは学校によりますが、まず相談することが第一歩です。
まとめ:今食べられるものに目を向けて
焦れば焦るほど、子どもへのプレッシャーは大きくなり、食べられるものがさらに減っていくという悪循環が生まれやすくなります。
まずは「今食べられるものがある」という事実を大切にしてください。自閉症の子どもの偏食も、ASD偏食の専門家の視点から見れば、適切なアプローチで少しずつ変化させていくことが可能です。完璧な食事より、子どもが安心して食卓につけることを、最初の目標にしてみましょう。

