「うちの子、全然食べないんですよねー」
そんな言葉が口グセになっていませんか?その気持ちはとてもよくわかります。毎日の食事のたびに悩み、給食のことも心配になる。でも、「食べない」という事実だけで終わらせてしまうのは、もったいないことかもしれません。
大切なのは、なぜ食べないのかを考えること。子どもには、食べられない理由がちゃんとあるのです。
ASD・ADHDの偏食はなぜ起こるの?3つの原因
自閉症(ASD)やADHDの子どもに偏食が多いことは、多くの専門家が指摘しています。その原因は大きく3つに分けられます。
1. 機能的な問題
口腔機能の発達が遅れていたり、噛む力が弱かったりすることで、特定の食感や硬さのものが食べられないケースがあります。飲み込む力(嚥下機能)に課題がある場合も、食べることそのものに困難を感じます。こうした機能的な問題は見た目にはわかりにくいため、「わがまま」と誤解されてしまうことも少なくありません。
2. 精神的な問題
過去に食事で嫌な体験をしたことがトラウマになり、食べること自体が怖くなってしまうことがあります。たとえば、無理に食べさせられた、吐いてしまったことがある、給食で先生や友達に注意された、といった経験が積み重なると、「食卓=怖い場所」という記憶が定着してしまいます。自閉症の子どもは特定の体験を強く記憶する傾向があるため、こうした精神的な理由で偏食が深刻化することがあります。
3. 感覚的な問題
ASD・ADHDの偏食でもっとも多いのが、この感覚の問題です。口に入れたときの温度・食感・においに対して、定型発達の子どもとは異なる強い感受性を持っているケースがあります。「ぐにゃっとした食感がどうしても無理」「冷たいものしか食べられない」「においが混ざると食べられない」といった反応は、わがままではなく、感覚過敏による本物の苦痛です。これはASD偏食の専門家の間でも広く認識されており、感覚統合の視点からのアプローチが有効とされています。
偏食は治るの?まず「観察」から始めよう
「偏食は治る?」と気になる方も多いでしょう。答えは、原因によって異なります。感覚的な問題は成長とともに和らぐこともありますし、適切なアプローチで食べられるものが増えるケースも多くあります。ただし、無理に食べさせようとするのは逆効果になることがほとんどです。
まず取り組んでほしいのが、子どもが食べる姿をよく観察すること。
- 食べ物を口に運ぶ前に止まる → においや見た目が原因かもしれない
- 口に入れてから出す → 食感や温度が合わないのかもしれない
- そもそも食卓に近づかない → 精神的な不安が原因かもしれない
どこでつまずいているかがわかれば、そこに向けた対応ができます。闇雲に「食べなさい」と言い続けるより、原因にアプローチするほうがずっと効果的です。
給食はどうするの?学校との連携も大切
自閉症の子どもの偏食で、保護者の方が特に悩むのが「給食」の問題です。偏食 給食についての悩みは、特別支援教育の現場でも非常によく聞かれます。
給食への対応として、以下のような方法が考えられます。
- 担任の先生に子どもの感覚過敏や食べられない理由を丁寧に説明する
- 無理に完食させないようお願いする
- 食べられる量だけよそってもらうなど、配膳の工夫を相談する
- 必要に応じて、主治医や支援者からの意見書を学校に提出する
学校と家庭が連携し、子どもにとって「給食が安心な時間」になるよう環境を整えることが、長い目で見たときの改善への近道です。
子どもの変化に寄り添い続けること
子どもの偏食は一定ではありません。昨日食べられなかったものが今日は食べられることもあれば、急に食べなくなることもあります。波があるのは自然なこと。だからこそ、定期的に観察し直すことが大切です。
「食べない」を嘆くより、「なぜ食べないのか」を一緒に探っていく。それがASD・ADHDの偏食支援の出発点です。困ったときは、ASD偏食の専門家や作業療法士、言語聴覚士などにも相談してみてください。一人で抱え込まなくて大丈夫です。

